七つの雪

まもなく雪の季節を迎えます。
雪といえば、歌謡曲にも数多くの雪のシーンが採り上げられています。やはり、どこか物悲しさが漂うのでしょう。
たとえば、新沼謙治さんのヒット曲「津軽恋女」のさびの部分には次のような一節があります。

 ♪降りつもる雪 雪 雪また雪よ
  津軽には七つの雪が降るとか
  こな雪つぶ雪わた雪ざらめ雪
  みず雪かた雪春待つ氷雪

これは、青森県出身の太宰治が、小説「津軽」の巻頭に雪の名前を並べて書いたものを引用したものです。「津軽の雪」として「こな雪 つぶ雪 わた雪 みず雪 かた雪 ざらめ雪 こおり雪」と七つの雪を書き並べています。


■こな雪(粉雪)
さらさらとした粉末状の雪で、別名パウダースノーとも呼ばれます。雪質は軽くふわふわしていて、息を吹きかけると簡単に飛んでいきます。気温が低く湿度も低いときに降り積もる雪です。

■つぶ雪(粒雪)
ザクザクした粒状の雪。

■わた雪(綿雪)
降ったばかりの綿みたいな雪。疾風(=速く吹く風)で吹上げられるものをいいます。

■みず雪(水雪)
握れば水分が滴るような、水気の多い雪。

■かた雪(固雪)
雪が積もって、下のほうが固くなったもの。歩いても足跡がつかないような圧雪のことです。

■ざらめ雪(粗目雪)
雪の粒が再結晶を繰返し、氷の粒ができて、ざらざらした雪。

■こおり雪(氷雪)
ざらめ雪が、固くしまって凍結した雪。濡雪(ぬれゆき)、濡締雪(ぬれしまりゆき)とも言います。


ところで、これらの津軽の「七つの雪」は、太宰治自身も東奥日報社刊行の「東奥年鑑」から引用したことが分かっています。オリジナルの東奥年鑑では「積雪の分類及びその名称」として記載されています。
「七つの雪」は、じつは降雪ではなく、積雪だったんですね。


それを知ってか知らずか、津軽恋女の作詞家・久仁京介氏は、「七つの雪」を津軽に降る雪として表現しました。

 ♪降りつもる雪 雪 雪また雪よ
  津軽には七つの雪が降るとか
  こな雪つぶ雪わた雪ざらめ雪
  みず雪かた雪春待つ氷雪

まさか「氷雪」が空から降ってくるわけはありませんが、歌では、最後にきちんと「春待つ氷雪」としてまとめています。

固くしまったこの氷雪が解ければ春になる・・・
そんな、北国の春を待つ気持ちが込められています。